「Wattbikeで1600W出たのに、ハロンでは1200Wしか出ない後輩にタイムで負けた。」
「パワーはあるから重いギアは得意だけど、軽いギアで高回転になると弱くなってしまう。」
こんな経験をしたことはありませんか?
私も自転車競技が3年目になりますが、実際に1600W出る人が1200Wの人にハロンで負けるシーンを何度も見たことがあります。
Wattbikeの最大ワットが高いのは間違いなく大きな武器なのですが、それだけが自転車の速さを決める要素ではないんですよね。
今回は、なぜ高いワットが出るのにも関わらず、自分よりワットが低い人より速く走れないのか、そしてあなたの高いワットを無駄なく自転車に伝え、クロモリの軽いギアでのハロンのタイムを上げる方法をお伝えします。
ちなみに、私のハロンのベストタイムはクロモリ49-15で11.40なので少しは参考になるかと思います。
縦踏みをしない。下に踏む力は推進力にならない。
パワーメーターは、ペダルに加えられた力の「総量」をワットとして表示してくれます。しかし、その力のすべてが「自転車を前に進める力」になっているとは限らないんですよね。
ペダルが一番下(6時の位置:下死点)に向かおうとしているときに、真下に向かって体重を乗せて全力で踏みつけると、パワーメーターの数値は一瞬跳ね上がります。
ちなみに、ワットバイクで最大ワットを出したいときも、下死点までぶち抜くつもりで踏み込みます。(実走では大ギアでのゼロスタートでぐらいでしか生きる場面がないですけど。)
しかし、下死点に向かっていくら力をかけてもクランクは回らないため、実際の推進力は「ゼロ」です。
ロードバイクなら100歩譲ってまだいいですよ、下死点まで踏んでも。下死点まで踏んでも進む力にはならないんですけど、フリーギアなので脚が疲れるだけで済みます。
問題は、ピストバイク。固定ギアなので、クランクは回り続けます。
ペダルは6時の位置に来たら、当然ですが7時、8時、9時とクランクは移動しようとします。
しかし、下死点まで踏み抜いてしまうと、6時で下に踏みつける力が働くので、7時に移動しようとするクランクを押さえつけて自らブレーキをかけることになります。
これを現場では「バックを踏む」と言います。
ワット数は高いのに遅い選手は、この「無駄な縦踏み」をしているケースが多いこと。
つまり、その自慢のパワーで自らブレーキをかけながら自転車を漕いでいるんです。実際私がこのパターンで究極の踏み踏みマンでした。
例えるなら、ママチャリでブレーキをかけながら「全力で漕いでるのに自転車が全然進まない!」と言っているのと同じなんです。
具体的な解決策①:3本ローラーで踏まないペダリングを身につける
3本ローラーで縦踏みにならないように、意識しながらクランクを回す練習をたくさんしました。
ちなみに、もがいたときにお尻が跳ねてしまう人は縦踏みが入っている可能性が高いです。また、もがいときにチェーンが暴れている場合も縦踏みが入っています。
動画を撮影して、確認してみることが大事です。
ちなみに私は、競輪選手の方に、「丸太を転がすように」と教えてもらいました。
具体的な解決策②:Wattbikeの「Polar View」でピーナッツ型を目指す
自転車を前に進める推進力(トルク)が最も効率よく伝わるのは、ペダルが「1時から3時」の位置にある瞬間です。
この感覚を身につけるのにいい練習があります。
Wattbikeのモニターに表示される「Polar View(ペダリング軌道)」を見てペダリングを確認する練習です。
縦踏みをしている選手は、この図形が「8の字(雪だるま型)」になります。
これは3時を過ぎてから下死点に向けて力が最大化し、引き足が遅れて抵抗を生んでいる証拠です。
改善のために必要なのは、この図形を「ピーナッツ型」や「楕円型(ソーセージ型)」に近づけることです。
1時ですぐに股関節の伸展(お尻の筋肉)を使って斜め前に蹴り出し、4時を過ぎたらすでに踏むのをやめて足の重さを消す(すばやく引き上げる)意識を持ちます。
ちなみに私は、10時頃からペダルを捉える準備をしています。なんなら10時ぐらいから前にトルクをかけ始めるイメージです。
10時でなんかトルクかけられるわけないだろ!と思うかもしれませんが、49-15の高回転になってくると、これぐらい前もってペダルに力を入力しようとして、ようやく12時、13時にトルクをかけられます。つまり、10時から踏む意識だけど、タイムラグで実際は12時、13時に入力が始まっています。
まあ話を元に戻すと、綺麗なピーナッツ型を保ったまま、ワット数を上げる練習を繰り返せば、高いワット数を無駄にすることに速さに繋がりますってことです。
具体的な解決策③:乗り込み
最終手段です。乗り込みをしましょう。
49-15より軽いギアで街道を走っていました。クロモリピストなら46-17、ロードバイクなら48-24とかです。とにかく踏まないで綺麗に回すことを意識していました。
11月から2月は、週に3回、最低80km。多いときで200kmぐらい。
8時に家を出て、20時に帰ってくる日もありました。ほぼ休憩も取らずにずっと自転車の上です。
筋肉繊維が遅筋化しちゃうとかの心配もあるかもしれませんが、そんなの気にしてる場合ではなかったのでとにかく乗り込みました。踏まないように意識しながら。
ただ踏まないように意識しても当時の私は踏み踏みマンだったので踏んでいるんですよね。
そして100kmも200kmも乗っていると、脚が限界を迎えて動かなくなってくるんです。そうなって初めて体の使っていなかった部分を使おうとしたり、踏むと脚が痛いから回そうとしたりなど、試行錯誤の中で回すペダリングを身につけました。
もちろん、先に紹介した3本ローラー練習や、ワットバイクのモニターでペダリングを確認する練習をしながらです。
3本ローラーや乗り込みで回す感覚を得たら、それがあっているのかをワットバイクのモニターで確認して答え合わせをする。
そんな感じでしたね。
ちなみに、乗り込みの日はラストに下りもがきをして、なるべく速筋も鍛えるようにしていました。
私は筋肉が遅筋化して、ダッシュが遅くなったとか、ハロンが遅くなったとかの悪影響はありませんでした。
むしろに自転車に乗り慣れたのか発走機のタイムが上がり、0-200mで16.7とかが限界だったのですが、最近は16.4とかで入れます。
空気抵抗が悪いとパワーがあっても遅い
パワーがあるの実走になると人より遅い。
もしかしたら、空気抵抗をもろに受けるフォームになっている可能性がありますよね。
自転車が前に進むのを邪魔する抵抗のうち、時速40kmを超えると約80%、ハロンのような時速60km以上の世界では90%以上が「空気抵抗」になります。
ようは速い速度で走れば走るほど、より空気抵抗の少ないフォームで走ることが大事ということです。
頭が上がったり、上半身が起きているほど空気抵抗が大きくなります。

頭の高いフォーム。自分では頭を低くしているつもりだったのですが、写真で確認するとこんなに頭が高い位置にありました。
頭の低いフォーム。風の抵抗が減り速く走れています。

いくらペダルを1600Wで力任せに踏み込んでも、もがく際にハンドルを強く引こうとするあまり背中が丸まって上体が起き上がっていたり、頭が高くなるフォームで乗っていれば、空気抵抗が増えて速度は落ちてしまいます。
解決策:固定ローラーと動画撮影を使ったフォーム矯正
大会でトップレベルの人達を見ると一目瞭然ですが、頭の位置が低く、背中がフラット(またはコンパクトな丸み)に保たれ、肩がすぼまっています。
エアロなフォームを身につけるために、私は固定ローラーの横にスマートフォンを設置し、もがいている自分のフォームを動画で撮りました。
そして、ポジションをいじりながらパワーが出せて、かつ空気抵抗が少ないフォームを追求しました。
面倒かもしれませんが、まずは自分のフォームがどんなにふうなっているかを確認することから始めましょう。
最大パワーが大きくても体重比が良くないと遅い
体重が増えれば、筋肉量も増えるため当然最大パワーは上がりますよね。なんなら脂肪だけでも増えれば最大限ワットは伸びるでしょう。
しかし、体重は自転車競技において、プラスにもマイナスにも働きます。
プラスの例を挙げれば、ハロンの駆け下ろしでは体重があれば重さを利用して加速させることができますね。
マイナスの例を挙げれば、体重によってタイヤの変形が起きることでの路面抵抗の増加、ゼロスタートの不利、空気抵抗の増加など。
ちょっと体脂肪が多いなと自覚がある人は、無駄な脂肪を落とすだけでタイムが上がる可能性があります。
筋力はあるけどスピードがない
筋力は単にスクワットのMAXが何キロ上がるか。
スピードとは、スクワットでバーベルを持ち上げる速さ。
スクワットMAX100kgでも、1秒で上げる人と、3秒で上げる人とでは、前者の方がパワーがあります。
ちなみに
パワー=筋力(スクワットなら何キロ上げられるか)×スピード(スクワットならどれだけ短い時間で上げられるか)
です。
あなたがパワーがあると思っているのは勘違いで、実は筋力があるだけで速さのレベルが低い可能性があります。
重いギアを力任せに踏めば、高いトルクが発生し、ワット数は高く出ます。
しかし、49-15のハロンでトップスピードに乗せるには、150rpm以上という回転で回し切る神経系の能力が必要です。
Wattbikeでは重い負荷をかけて最大パワーを出せるのに、実際のバンク(49-15などの決まったギア比)ではペダルがスカスカに感じて力が入りきらない。
これは「筋力が足りない」のではなく、「筋肉がその速いスピードで収縮することに慣れていない(神経系の未発達)」ことが原因なのです。
解決策:神経系特化のオーバースピードトレーニング
高回転でも荷重が抜けないようにする神経系トレーニングが必要ですね。
下り坂を利用したオーバースピードトレーニングや、固定ローラーでのハイケイデンス(180rpm〜200rpm)もがきなど、「軽い負荷で超高速に筋肉を動かす」練習を取り入れ、高いワット数を高回転域でも発揮できるように脳と筋肉のリンク、つまり神経系を鍛えましょう。
Aragoの電動3本ローラーで自分では出せない回転数を脳や筋肉に覚えさせるのも効果的です。これは競輪選手も言っていました。
新品だと30万円以上するので、持っている人は少ないと思いますが、メルカリやヤフオクなどでたまに見つかります。
まあただ基本は見つからないし、あんなうるさいマシンを一般家庭で置いたら家族から苦情殺到だと思うので現実的ではないですね(笑)
49-15のハロンの回転数なんていっても170ぐらいだと思うので、普通の3本ローラーや固定ローラーで十分ですね。少なくとも私はこれで11.40は出せてます。
あとは、ウエイトリフティング系種目やジャンプ系種目など、瞬発力を鍛える種目もありますので検討してみてください。私は今のところやっていないですけど、そのうち取り入れたいと思っています。
まとめ:あなたのワット数は、もっとタイムに繋がる
ワットが高いということは、それだけポテンシャルを秘めているということです。才能と努力の成果であり、自信を持っていい部分です。
あとは、その巨大なパワーを正しく自転車に伝えるだけです。
この記事で紹介したことを1つでもいいので試してみると何か変わるかもしれませんよ。
また「今回はワットが高いのにも関わらず、クロモリ49-15のハロンでタイムが出ない」という問題にフォーカスして記事を書きました。
しかし、ハロンのタイムを縮める要素はまだあります。
ラインどり、ウワバンの速度、ウワバンの高い位置を走る技術、自転車の倒し方、視線など。
これらも自分なりに考えて走ることでタイム短縮に繋がっていきます。
今回は以上です。
最後まで読んだいただきありがとうございました。

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